大判プリンターのリース満了や入替に伴う機器の移設・返却作業で、多くの人が「プリンター内部のインクを抜くべきか?」と疑問に思うのではないでしょうか。
実際には多くの機種ではインクを抜く必要はなく、メーカー推奨の「輸送モード」を設定するだけで安全に運搬できます。本記事では、その正しい手順と注意点をわかりやすく解説します。
大型プリンターは移送・返却前にインク抜きが必要?
大判プリンターを返却・移動する前に、まず知っておきたいのが「インク抜き」の正しい扱い方です。
ほとんどのプリンターではインクを抜くことはできず、無理に取り除くと故障の原因になります。安全に運搬するためには、メーカー推奨の「輸送モード」に設定する必要があります。
プリンター内部のインクは物理的に「抜けない」
一般的なプリンターの内部構造は密閉されており、プリンター外部からインクを完全には抜き取れません。
無理に抜こうとすると、空気が入り込んだりヘッドを傷めたりするおそれがあります。メーカーは「インクを抜く」のではなく「輸送モードに設定する」ことをすすめています。
重要な工程は「プリントヘッドの保護」
大判プリンターを運搬するときに最も重要なのは、インク漏れ防止ではなくプリントヘッドの保護です。ヘッド内部は繊細で、インクが完全に抜けると乾燥や固着が起こりやすいです。
またヘッドの位置を固定せず移動させると、内部のインクが固まり、再設置後に「ノズル詰まり」や「色ムラ」が発生するケースもあります。エプソンをはじめとする各メーカーでは、輸送前にヘッド位置を「ホームポジション」へ移動させる手順を定めています。
多くのメーカーが推奨する輸送モードとは
「輸送モード」とは、インクを抜く代わりにプリンターを運搬に適した状態にする機能です。輸送モードを実行すると、プリントヘッドやインクの通り道を保護位置に移動させ、内部圧を安定させて、インク漏れと乾燥を防ぎます。
輸送モードの設定は必ず電源を入れたまま行う必要があり、電源を切るだけでは輸送モードになりません。モード設定をせずに電源を抜くと、ヘッドが正しい位置に固定されず、インクの固着やノズル詰まりが起きるおそれがあります。
インク抜き必要なし!大判プリンターの輸送モード設定手順
大判プリンターを安全に運ぶためには、メーカーごとの輸送モードの設定が欠かせません。インクを抜かずに内部を保護する輸送モードは、ヘッドの位置を固定し、インク漏れや乾燥を防ぐための重要な工程です。
ここではCanon・EPSONなど主要メーカーの設定手順を紹介します。
Canon imagePROGRAFシリーズにおける輸送手順
Canonの大判プリンター(imagePROGRAFシリーズ)では、輸送モードが搭載されています。輸送モードを実行すると、プリントヘッドがキャップ位置に自動移動し、内部インク圧が輸送向けに調整されます。
設定手順の一例(imagePROGRAF iPF8300S)
- 操作パネルから「タブ選択画面」→「設定/調整タブ」を選択
- 「移動の準備」を選択
- 輸送のレベルを選択
- 「実行する」を選択
- 「する」を選択
▼輸送レベル1(トラックでの輸送など)の場合
ディスプレイに電源オフのメッセージが表示されたら電源を切り、プリンターを梱包する。
▼輸送レベル2~3(飛行機・傾きのある輸送など)の場合
ディスプレイに「インクタンクカバー」を空けるメッセージが表示される。インクタンクを取り出し、プリンターを梱包する。
EPSON SureColorシリーズにおける輸送・保管時の対応
EPSONのSureColorシリーズには、輸送モードの設定は存在しません。下記を参考に輸送準備をしてみてください。
設定手順の一例(SureColor SC-Tシリーズ)
- 電源をオフにする
- 電源プラグをコンセントから抜き、印刷用紙を取り除く
- 原稿カバーを閉めた状態でスキャナーユニットを開ける
- プリントヘッドやインクカートリッジが動かないように市販のテープなどで固定する
- スキャナーユニットまたはプリンターカバーを閉める
- 各部品もそろえて別々で梱包する
輸送モードが搭載されていない場合の対処法
旧モデルや一部エントリー機には、輸送モードが搭載されていません。輸送モードがない場合は、電源を入れた状態でヘッドをホームポジションに戻し、ヘッドがキャップ位置に固定されたのを確認してから電源を切ります。
そのあとはカートリッジを外さずに、プリンターを水平に保った状態で移動させましょう。輸送時は衝撃吸収材を使用し、プリンターを傾けないよう注意してください。
ベルカラー互換インク使用中の大判プリンターを運ぶ注意点
ベルカラーの互換インクを使っている場合も、基本的な運搬手順は純正インクと同じです。ただし、リース契約や機種によっては返却時に純正インクを求められることもあります。
輸送前のチェックポイントや、取り外したインクの保管・再利用のコツを解説します。
互換インクカートリッジは輸送前に取り外すべきか?
ベルカラーの互換インクは、純正カートリッジと同等の構造で設計されており、輸送モードを正しく実行していれば取り外す必要はありません。
ただし、プリンターモデルやリース契約条件によっては、純正インクに交換して返却を求められる場合があります。リース契約書または返却ガイドラインを事前に確認してから対応しましょう。
取り外した互換インクカートリッジの正しい保管方法
互換インクを一時的に取り外した場合は、直射日光と高温を避けた密閉状態で保管します。密閉式のビニール袋やプラスチック容器などを使用すると、インク漏れやノズル乾燥を防げます。
カートリッジの保管の向きについてはメーカーや種類によって異なるため、詳しくは取扱説明書を確認しましょう。
再装着時は軽く振らず、装着後にノズルチェックを実施してから印刷を行ってください。これにより、輸送後もインク品質を保ったまま再利用が可能です。
大判プリンターのリース返却・廃棄時の最終チェック
大判プリンターをリース返却や廃棄する前には、データの初期化や輸送準備など、いくつか確認しておきたいポイントがあります。安全に引き渡すため、最終確認を行いましょう。
返却前に必要な設定解除
返却前には、プリンター本体に登録されているネットワーク設定やユーザー情報をリセットしてください。社内LAN環境で運用していた場合、IPアドレス・Wi-Fi情報が残っていると情報漏洩のリスクが生じます。
一般的にネットワークのリセットは、メニューの「設定」に項目が並んでいます。初期化を実行し、登録情報をすべて削除しましょう。
運送業者へ引き渡すときに伝えたい注意点
輸送モードを完了させたうえで、電源ケーブル・インターフェースケーブルをすべて外します。運送業者へ引き渡す際には、以下の3点を伝えると安心です。
- プリンターは水平に保持して運搬すること
- 強い振動や傾斜を避けること
- 業者が再設置を行う場合、ヘッドクリーニングを必ず実施すること
これにより、返却後のトラブルを防止できます。
廃棄・売却時のインクカートリッジの処分方法
取り外したインクカートリッジは、自治体のルールに従って処分が必要です。法人の場合は、「燃えないごみ」として扱えないため注意しましょう。
| 廃棄方法 | 対象となるインク | 注意点 |
|---|---|---|
| 産業廃棄物 | 互換インク、純正インク(法人の大量排出) | 産業廃棄物処理業者に委託し、マニフェスト(管理票)の交付が必要 |
| メーカー回収 | メーカー純正品のみ | キヤノンやエプソンなどの純正メーカーは、互換品は回収対象外 |
まとめ|大判プリンター入れ替え時は輸送モードに設定
大判プリンターの移送・返却では、インクを抜くのではなく、メーカー指定の「輸送モード」に設定することが重要です。輸送モードの設定により、プリントヘッドやインクの通り道をしっかり保護し、機器の故障やインク漏れを防ぎます。
また、法人で使用したインクカートリッジは一般ごみとして廃棄できません。必ず産業廃棄物として専門業者に依頼し、適正処理を行うよう注意しましょう。
\ ベルカラーは互換インクの専門店です/

