プリンターインクにはさまざまな種類があるため、「選び方が分からない」「印刷物の仕上がりに違いがあるのか」といった疑問を抱える方もいるでしょう。
プリンターのインクカートリッジには、インクの性質や容量、構造などの違いがあります。インクによって発色や印刷物の状態が変わるため、用途や利用環境に応じて選定することが重要です。
本記事では、プリンターインクの種類から、インクタイプや容量の違いについて解説します。
プリンターインクの種類
プリンターのインクは大きく分けて以下の2種類があります。
- 純正インク
- 非純正インク
「純正インク」はプリンターメーカーが、「非純正インク」はプリンターメーカー以外が製造しています。
純正インクと非純正インクのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット | |
純正インク | 動作が保証されている
印刷物が劣化しにくい |
非純正と比べて価格が高い |
非純正インク | 純正と比べて価格が安い
純正品と同格のインクの性能 |
製品によって品質にばらつきがある
トラブルが起きた際は自己負担になる可能性が高い |
ここからは純正インクと非純正インクの特徴を紹介します。
純正インク
純正インクはプリンターメーカーが製造・販売しているインクカートリッジです。動作が保証され、プリンターの性能を最大限発揮できるようにつくられています。
その反面、非純正インクと比べて価格が高いため、頻繁にプリンターを使う場合コストがかさむ傾向にあります。
非純正インク
非純正インクはプリンターメーカーとは異なる会社で製造・販売されているインクのことです。純正品とほとんど同じ性能でありながら、価格は純正品の半額以下で購入できます。
ただし、非純正インクを使用してプリンターに不具合が生じた場合、基本的にプリンターメーカーからの保証は受けられず自己負担での修理が必要です。また、非純正のメーカーや製品によって品質にばらつきがある点にも注意しましょう。
非純正インクは次の2種類に分けられます。
- 互換インク(汎用インク)
- 再生インク(リサイクルインク)
互換インク(汎用インク)
互換インクとは汎用インクとも呼ばれ、プリンターメーカーとは別のメーカーが製造しているインクのことです。メーカーは異なっていても互換性があるので、通常のプリンター印刷に使用できます。
純正インクと比べて1/2~1/3の価格で販売されていることが多く、ランニングコストを抑えられます。互換インクは製品によって品質にばらつきがあり、純正インクと比べて印刷物の劣化が早い傾向があることに注意が必要です。
純正インクと互換インクの違いの詳細は「純正インクと互換インクはどっちがいいの?違いを説明」で解説しているため、あわせてご覧ください。
互換インクには以下の2種類があります。
- カートリッジタイプ
- ボトルタイプ(詰め替えインク)
<カートリッジタイプ>
カートリッジタイプの本体やICチップは、すべてメーカーで新しく作られたものです。あらかじめインクが充填されており、プリンターにセットすることでそのまま使用できます。
▼ベルカラーのカートリッジタイプの互換インク(BCI-370XL/BCI371XL用)
1回使い切りタイプのカートリッジのため、インク切れのタイミングで新しいカートリッジへ交換します。
<ボトルタイプ(詰め替えインク)>
ボトルタイプの詰め替えインクは、詰め替え用のカートリッジや純正カートリッジに自分でインクを補充して使用する製品です。
▼ベルカラーキヤノン用詰め替えインク30ml
純正品と比べて、容量が多く大幅なコストダウンが見込まれ、カートリッジを使い続けることでごみの削減につながります。
使用済みの純正カートリッジへ詰め替える場合の注意点は、インク補充する際に漏れてしまうケースがあることや、詰め替え回数に限度があることです。また、リセッターなどの専用ツールが必要になることもあるため、事前に確認しなければなりません。
ベルカラーでは大きな注入口で簡単に詰め替えができる「詰め替えカートリッジ」を提供しています。詰め替えカートリッジは、詰め替えインクを補充して繰り返し使用できるタイプのカートリッジです。
▼ベルカラーの詰め替えカートリッジ
純正品と同じ形状ですが、ベルカラー製の詰め替えカートリッジは中身が見えやすいスケルトンタイプです。残量の確認が容易にできるため、詰め替えのタイミングもわかりやすくなっています。
再生インク(リサイクルインク)
再生インクは使用済みの純正インクカートリッジを回収し、中に別のインクを補充したものです。カートリッジ内の古いインクをきれいに取り除き、隅々までクリーニングした後、新しいインクを補充します。
純正カートリッジを再利用しているため、純正インクと比べて価格が安く、環境にも優しいことが魅力的です。
ただし、リサイクルインク利用中にプリンターに不具合が発生した場合、保証期間内であっても自己負担での修理になることがあります。また、リサイクル前のカートリッジの状態に依存するため、品質にバラつきが出やすい傾向です。
再生インクで使用する純正カートリッジは黒い商品が多いため中身が見えにくく、インク残量の確認がしにくい点にも注意しなければなりません。
リサイクルインクの詳細は「環境に優しいインクのお話|リサイクルインクと詰め替えインクについて」で解説しています。
プリンターインクタイプ
プリンターインクタイプはカートリッジタイプ2種とボトルタイプに分かれています。
- インクカートリッジ
- トナーカートリッジ
- インクボトル
タイプによって使用するプリンターやインクが異なるため、違いを把握しておきましょう。
インクカートリッジ
インクカートリッジは、液体インクが入っているカートリッジのことです。一般的に家庭用のインクジェットプリンターで使用されています。
プリンターのノズルを通してインクを用紙に吹きつけて印刷する仕組みです。インクカートリッジの形状には一体型と独立型の2つのタイプがあります。
一体型
一体型とは、ヘッドとインクタンクが1つになっているタイプのカートリッジです。劣化やつまりなどによってヘッドに不具合が発生した際にも、カートリッジを交換することで新しくなります。
ただし、複数の色が1つのカートリッジにまとめられている場合は、1つのインクが切れた時もすべて交換しないといけません。一体型の中でもブラックのみ独立していて、カラーの3色が一体型になっているカートリッジもあります。
プリンターインクの一体型の詳細は「プリンターインクの一体型とは?独立型との違いやメリット・デメリットを紹介」で解説しています。
独立型
独立型とは、一体型とは異なりヘッドとインクが独立している形状のカートリッジです。各色ごとにカートリッジが独立しているため、少なくなったインクのみ交換できます。
ただし、ヘッドは徐々に消耗されていくため、インクが詰まってしまうと最悪の場合は買い替えも検討しなければなりません。
独立型については「プリンターは独立型インクが安い?メリットとデメリットを解説」もあわせてご覧ください。
トナーカートリッジ
トナーカートリッジとは、液体ではなく非常に小さな粒上の粉末が入っているカートリッジのことです。印刷の際には、静電気によってトナーを用紙に付着させ、熱や圧力をかけて定着させます。
インクコストが低く大量印刷に向いていることから、主にレーザープリンターや複合機など、業務用として使われることがほとんどです。
トナーの性質上、繊細な色の表現は得意ではなく、長期間保管をしていると不具合が起きやすい点に注意しましょう。
インクボトル
インクボトルとは、一部のエコタンク搭載のプリンターに直接流し込んで充填できる大容量タイプのインクのことです。
インクカートリッジと比較してコストパフォーマンスに優れています。インクの補充頻度は低く手軽に行えるため、プリンターを頻繁に使う人に最適です。
インクボトルを使用するプリンターが気になる方は「インクタンク式のプリンターとは?メリット・デメリットを解説」もあわせてご覧ください。
プリンターインクの容量の種類
プリンターのインクカートリッジには以下の2つのタイプがあります。
- 標準タイプ
- 増量(大容量)タイプ
増量タイプは、標準タイプとインクカートリッジの大きさは同じですが、中身のインクの容量が1.5〜2倍多めに入っています。製品によって異なりますが、価格は標準タイプの2倍弱ほどで、増量タイプのほうが若干コストパフォーマンスに優れているためお得です。
ただしインクはプリンターにセットにすると、成分が揮発して粘度が徐々に上がり、ノズルにインクが詰まりやすくなります。そのため、印刷頻度の低い方には標準タイプがおすすめです。
キヤノンのインクカートリッジBC-365(XL)を例に、価格と容量を比較してみましょう。
容量 | 価格例 | 容量例 |
標準(BC-365) | 2,190円(税込) | 約7.9ml |
増量(BC-365XL) | 3,230円(税込) | 約15.0ml |
※2023年8月現在
容量参考:Canon「【インクジェットプリンター】インクカートリッジの容量について」
プリンターインクの特徴・特性と色数
プリンターインクは以下の2つの特徴・特性に分けられます。
- 染料インク
- 顔料インク
染料と顔料は、印刷後の発色や仕上がりなどに大きな違いがあります。また、プリンターによって色数も変動するため次で紹介する特徴を確認しておきましょう。
染料インク
染料インクは、インクを紙に染み込ませることで着色させるインクです。インクの粒子が細かく紙の内部まで浸透するため、細かな色まで再現性が高く、きれいな発色の仕上がりになります。
一方でインクが乾きにくく、水や光に弱い傾向にあります。水や直射日光を避けて保管する、色移りを防ぐため印刷後すぐに印刷物を重ねないなどの対応が必要です。
顔料インク
顔料インクは、インクを紙の表面に付着させることで着色します。粒子が大きく、紙の内部にインクが染みこんでいかないことから、幅広いタイプの用紙に使用できます。
インクが滲みにくく速乾性があり、くっきりとした仕上がりになるため、文字やグラフなどビジネス文書に最適です。
しかし、インクを表面に付着させているだけのため、紙をこすると色落ちすることがあり、ムラができることもあります。顔料インクは染料インクと比較すると値段が高いため、コスパを重視する場合は染料インクがおすすめです。
「染料と顔料の違いは?プリンターインクの選び方を徹底解説!」では、染料と顔料についてより詳しく解説しています。
インクの色数は4色・5色・6色
プリンターのインクは4色・5色・6色の3種類のタイプが多くを占めています。中には7色や8色のプリンターなど、色数が多い機種もあり、よりメリハリの効いた色の再現が可能です。
色数が増えるほど、印刷コストが高くなる傾向にあります。さらに、プリンター本体も60,000円ほどの高価なモデルもあります。
4色は独立型と一体型があるのに対し、6色は独立型のインクカートリッジがほとんどです。
色数による印刷品質の違いやコストの詳細は「プリンターインクの4色と6色の違いについて詳しく解説」もあわせてご確認ください。
プリンターインクの種類を把握して用途に適したものを選ぼう
プリンターのインクは、大きく分けると純正と非純正の2種類ですが、インクタイプや容量など、さらに細かな種類があります。
プリンターの種類を理解し、用途に適したものを選ぶことで、より便利に印刷ができるでしょう。
非純正インクは、製品によっては純正インクと性能差がほとんどないものの、コストパフォーマンスに優れていることが魅力です。
ベルカラーではさまざまな型番の互換インクを揃えているため、ぜひ公式サイトをご覧ください。
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